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花火ノート

オタク女の独りアーカイブ

orangeが完結して良かったなと思いました

やっと読みました。  

3年前の正月にマーガレット版を読んで以来なので、もうそんなに時が経ってしまったのかと、複雑な気持ちになりました。でも、まだ3年しか経っていないんですね。もっと時間が過ぎていたような感覚にとらわれていました。2巻以降、作者の迷走により連載は中断、一時は「漫画家をやめる」とまで発言し、このまま漫画界から姿を消していくのかと思っていたら、双葉社で紆余曲折のすえ、まさかの復活を成し遂げました。映画化につづき今夏にはアニメ化と、まだまだ展開は続きそうです。映画が気にいらなかったのかTwitterを消して逃亡した姿を見て、この人は何も変わっていないんだと残念に思いました。

3年前、はてなで書いた感想では絶賛していました(複数の漫画の感想を書いた記事でした)。

今回読んだ中では一番良かった。かなりクリティカルヒットである!ストーリーも作画もレベルが高く、ぐいぐい引き込まれる。10年後の自分から届いた手紙と東京からやってきた転校生。2巻の最後の展開に思わず別マを買いに行きたい衝動に駆られて思いとどまった。一応3巻の予定とのことだけど、変に引き延ばしをせずにお願いしたいなあ!!

 

昔の感想を見てそうだったなあーと思い出したのですが、マーガレット版は全3巻で終わる予定とコメントが書かれていました。双葉社では全5巻です。今回改めて読んでみましたが、当初は、あずさ・貴子・萩田には未来からの手紙が来る予定がなかったのでは?1・2巻で手紙をもとに動いていた菜穂の行動に対して、信じられなかったとはいえ3人のリアクションが感じられない。ここで印象に残っていた出来事(自分が知っている情報も含めて)に差があって、結果的に手紙の内容に影響が出たみたいだから致し方ないのかもしれませんが。菜穂はもともと日記をつけている几帳面さがあったしね。皆が協力して翔を救おうと心を一つにしたけれど、誰か裏切ったり手紙の内容を信じて行動しなかったらどうなっていたのだろう?と穿った見方をしてしまう。ストーリーありき、プロットありきでご都合主義にも見えてしまうのがかなりマイナス。結果的に翔の命は救えたが今後も支えていけるのだろうか?自殺を阻止で来ただけで、一時的に心が落ち着いただけかもしれない。皆、自分の人生があるから進学だ就職だで構っていられない時期が出てしまうわけで、翔もちょっとしたことでまたバランスを崩してしまう可能性も……まあ、ここはトゥルーエンドってことで、おばあちゃんや大人の力を借りたりしていくと思いたいね。

 

一番気になったのは、未来の5人。菜穂は須和と結婚し、子どもまで授かっている。昔好きだった男の子が亡くなってしまったとはいえ、いつまでも思い続け執着しているのが何とも言えない。旦那の須和のほうを全然見ていない気が……須和もこんな状態の菜穂を許しているってのがまたね……なんつーか。須和っていい奴すぎないか?過去の自分に写真まで同封して2人の仲を応援しろって、菜穂に片思いしている高校生の須和がかわいそう。そして、タイムパラドックスの成立した世界観が前提とはいえ、須和と結婚しない未来ができるのなら抱っこしている子どもが生まれない可能性が出ると思うと、あまりいい気分にはならなかった。今ある命を救いたいのは分かる。でも、これから生まれるであろう命がひとつ消えるのだ。別の世界ではある命が片方の世界では存在しないんだ。これがとても嫌だった。子どもを抱きながら「別の世界にいる翔を救おう」って、須和よ。子どもの名前が出てこなかったんだけど、まさか……。あと、なぜ手紙が過去に届くのかも説明が一切なしで、SFを匂わせといてそりゃないだろう。しかも今時バミューダ諸島って……若い子は分かったのか!?岡田あーみん(神)以来だよ!!漫画の中で見たのは!それはさておき、翔が生きている未来でも須和と菜穂が結婚しているのであれば、良いなと思いました。翔も新たに好きな人ができたり、夢や仕事に頑張っている姿があったりして、どんどん枝分かれしていろんな未来が出来ていくのなら、この話も作品として完成すると勝手に想像しますが、彼らのエピローグは多く語られなかったので何とも言えません。あれはあれで良かったのかもしれません。翔が生きている「今」の延長上の未来はこれからやってくるのですから。……と言っておけばいいかな。手紙に救われた彼らは過去への働きかけをしないでしょう。そして、また別次元の彼らは悩み生きるのでしょう……。

 

一度は投げ出された「orange」という作品を拾い上げ、ヒットさせメディアミックス化まで持っていった双葉社はなかなかの腕っぷしだと思いました。いろいろなツッコミどころがある話ではありましたが、やはり人を引き付けるだけの魅力を備えた作品であったことは間違いありません。作者本人は描きたいことはすべて描けたと仰っていますが、orange完結に至るまでの経緯は少ししんどいものがありました。ブログでの物言いやファンとのネットボクシングなど目も当てられません。人気がなくて打ち切られる漫画はたくさんあります。それでも、作者なりにエンドマークを付けます。しかし、人気があるのに投げ出す漫画家がいます。何故そのような事態に至ったのかは分からず、昔は雑誌の予告をみて掲載を確認したり、漫画情報誌で情報を探すしか手がありませんでした。ファンは待つしかありませんでした。ネットが発達した現在、病気療養中や一身上の都合で休載など理由が分かることも多くなりましたが、明らかに遊んでいて原稿を落としている姿も目の当たりにする機会が増えました。今は些細な出来事まで可視化され、忘れてはもらえない時代です。ただ単に「orange」を読んでいたらもっと違った印象を持てたかもしれません。しかし、連載を投げだし中断を経ての完結までの道のりはとても長かった。ゴールまでの道のりまで見ていた、こちらとしてもしんどかった。だから、穿った見方でしか読めず、作品の世界にどっぷりつかって読めませんでした。

 

同じく読んだ妹と「この漫画、どーよ」と感想を言いあったのですが、「まあ、完結したから良かったんじゃない」と結論がでて、話し合いは終了しました。終わり良ければ総て良し……と言い難い気もしますが、作者がエンドマークを付けたことは喜ばしいことでした。新作を書く予定があるのなら投げ出さないで、がんばって描いてもらえると良いなと思います。